| 手洗い、うがいを徹底 タオルの共用避けて
毎年7〜8月にかけて子供に流行する「咽頭(いんとう)結膜熱」(プール熱)が、今年は7月初めまで、過去10年で最多のペースで発生している。水遊びなど感染しやすい場面が増える夏本番を迎え、注意が必要だ。(高橋圭史)
■症状
主な症状は、〈1〉39度前後の高熱〈2〉のどの痛み〈3〉結膜炎――。
一般的なかぜは鼻水、せきなどの症状が出た後、熱が上がることが多いが、プール熱の場合、いきなり高熱が出る。
多くは、4〜5日で自然に治まるが、乳幼児では、ごくまれに肺炎に至るなど重症化することもある。
■原因
アデノウイルスが原因。40種類以上の型があるが、プール熱を引き起こすのは数種類だ。子供は免疫がまだできていないため、かかりやすい。
このウイルスは、目、のどの粘膜について感染し、炎症を起こすが、症状が出ないこともある。感染すると、唾液(だえき)やせき、便からも排せつされる。
このため、消毒の不十分なプールに患者が入って、感染が広がることがあり、「プール熱」という通称がついた。プールに入っていなくても、日常生活で、せきが飛んできたり、ウイルスがついた手に触ったりして感染することも多い。
■予防
たからぎ医院(東京都渋谷区、小児科)の宝樹真理(しんり)さんは「まずは、日常生活での手洗い、うがいの徹底が大事」と話す。
プールから上がった後は、シャワーでしっかり体についた水、汚れを洗い流す。
また、目や口をふく機会が多いタオルを、他人と共用するのは避けるべきだ。
水を塩素消毒し、循環させている大型のプールは比較的感染が広がりにくい。水を循環させない小さなプールの方が注意が必要だ。家庭用の簡易プールなどでは一度ためた水で何度も遊ばせず、水を交換した方がよい。
■かかったら
アデノウイルスに効く特効薬はないが、安静にしていれば、大抵4〜5日で症状は治まるので、「あわてず冷静に対処してほしい」と宝樹さんは話す。
例えば夜中に高熱が急に出ても、症状がそれだけなら、救急で病院に向かう必要はない。診察は翌日でも十分。「プール熱と診断がつけば、自然に治るものなので、逆に安心できる」という。
とはいえ、熱は高いので、脱水症状には注意したい。高熱による発汗で、水分が普段より失われるので、こまめに水分をとる必要がある。
のどが赤く腫れ、物が飲み込めないほど痛くなることもある。特別に食事制限する必要はないが、固い物より軟らかい物の方がのどを通りやすく食べやすい。
ごくまれに重症化する場合もある。宝樹さんは、〈1〉吐いてばかりいて水も飲めない〈2〉尿の出が少ない〈3〉ひきつけを起こす――など衰弱が著しい時は、小児科を受診した方がよいという。
熱が下がっても2〜3週間、体内にウイルスが残り、便から排せつされる。元気になって水遊びする時は、周囲への感染を防ぐために、事前に、手や足、おしりをよく洗う必要がある。
高熱が出るので注意は必要だが、宝樹さんは「衛生面に注意しつつも、あまり神経質にならず、元気に水遊びさせ、丈夫な子に育ててほしい」と語る。
10年で最悪ペース
国立感染症研究所では、「咽頭結膜熱」について、全国3000の小児科から毎週報告を受けているが、今年は、7月2日までののべ患者数が4万5000人を超える。大流行した一昨年同期の約2万6600人と比べても約1・7倍と、過去10年で最多のペースだ。
この集計では、患者は、全体の9割が7歳以下。2〜3歳が最も多い。
今年急増している理由は不明だが、同研究所感染症情報センター長の岡部信彦さんは「近年、アデノウイルスの検査キットが医療機関に普及し、ウイルスの検出が容易にできるようになったことも、要因の一つではないか」と語る。
綿棒でのどをこするだけの検査で簡単に診断できるようになり、以前は漠然と「夏かぜ」とされていたものが、正確に「咽頭結膜熱」と分類されるようになった可能性がある。
(読売新聞)
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